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2007/01/16

金印偽造事件

帯にあった「あの国宝はでっち上げだった!」のキャッチコピーに思わず手にとった。文字を普通のゴシックにしているところに好感が持てる。もしこれが変に強調されたフォントだったら、あぁトンデモ本だなと一顧だにせずに通り過ぎていただろう。

著者が「金印」を偽造と結論付ける根拠は概ね次の4点である。

その壱、志賀島あたりからは金印と縁深い弥生後期の遺構は出土せず、その場所からして海の民の本拠地ではあっても、弥生時代の王権があったとは考えられない。
その弐、田んぼの脇の水路から出土したのに、まったく傷がないのは変。
その参、金印発見後の経緯に謎が多い。
その四、金印の鈕形(印のつまみ部)が拙い。失敗作と思われる。

中でも金印発見の経緯について多くの紙幅を割いて分析されている。

農民の甚兵衛が金印を発見し、それを兄に見せ、兄が奉公先の主人である米屋才蔵に見せた。その主人は金なども扱いなれている人物。その人物が「大事な品だから大切に保存しなさい」と言って持ち帰らせた。真贋を見極める目を持ち合わせていると思われる人物ならば、大事なものなら持ち帰らせずに自分が預かるのではないか。

また金印の偽造が起こった動機に、江戸時代の福岡藩に存在した二つの藩校同士の確執を絡ませる。

金印が出たのは、ひとつの藩に二つの藩校という異例が認められた翌年のことだった。そして金印を本物と鑑定した亀井南冥という儒学者が設立した片方の藩校はどちらかといえば、非主流派だった。それゆえ何か名を上げる手段が必要だった。

一気に読了。事実は小説よりも奇なり? それともこの説、小説ばりに奇なり?

三浦佑之著『金印偽造事件:「漢委奴國王」のまぼろし』(幻冬舎新書, 2006)
Kinningizou

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コメント

じっくりのコメントありがとうございます。

そういえば歴史ものの記事、これまであまり書いてはいなかったのですが、能好き、器好き、ミステリー好きにとって、歴史とのつながりは深いのです。

Muさんから見ればまだまだひよっこです。よろしくご指南ください。m(_ _)m

投稿: namiko→Mu | 2007/01/23 17:29

1.三度目くらいに読んで、やっとコメントです。このごろ、コメント書くのがじっくりタイプになってきました。
2.数回前の「火の路」とか、今回の金印偽造とか、波兎さんの、ご趣味の世界の拡がりに意外な感が深いです。こういう歴史物記事は、以前あったでしょうか? もし有るなら探して再読します。
3.それにしても、町知らず、本知らず、「幻冬舎新書」という新書に気が付きませんでした。うかつ。社風にしたがって、ノリのよい企画が多いのでしょうか。一度、タイトルを見てみます。

投稿: Mu | 2007/01/22 04:23

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 図書内容について、まず図書自身に語らせる。カバーの裏に次のような惹句があった。 帯情報 「一七八四年、志賀島(現在、福岡県)の農民・甚兵衛(じんべえ)が田んぼの脇の水路から発見したとされ、日本史の教科書にも掲載されているあまりに有名な「金印」。これは、建武中元二年(五七年)に後漢の光武帝が同地にあった小国家の君主に与... [続きを読む]

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